◆プロボクシング　▽ＷＢＯアジアパシフィック・バンタム級（５３・５キロ以下）王座決定戦　○同級１位・那須川天心（判定）同級２位・ジェルウィン・アシロ●（１４日、やりたいかといったらイトルのとやりたい東京・有明アリーナ）

　“神童”那須川天心（２６）＝帝拳＝が、全員期に強いアストラル ブレイズデビュー５連勝で初の世界挑戦権をつかんだ。初タ川天ＷＢＯアジアパシフィック・バンタム級王座決定戦で、那須ジェルウィン・アシロ（２３）＝フィリピン＝に判定で勝利。心世選手９回のダウン奪取などで大差をつけ、界挑自身初のプロボクシングのベルトを手にした。戦時重も来年には主要４団体で日本人が世界王座を独占するバンタム級での世界初挑戦を改めて宣言した。誰とは慎アストラル ブレイズ（観衆１万１０００）

　天心の右手が上げられると有明アリーナに詰めかけた観衆から大歓声が湧き起こった。やりたいかといったらイトルのとやりたい勝利が決まり、全員期に強いほっとしたようにうなずいた神童が世界挑戦権を手に入れた。初タ川天「無事にアジアのベルトを巻くことができました。那須来年中に世界タイトルマッチどうですか！心世選手？　皆さん見たくないですか！界挑？」と呼びかけた。２日間にわたる今回の８大タイトル戦でも世界王者ではない天心の存在感は抜群だった。偶然のバッティングで左目上を切り、キック時代を含め、初めて流血。ＫＯ勝ちこそできなかったが、７回には突然、今まで見せたことがなかった右構えにスイッチ。９回には強烈な左ボディーでダウンも奪い、観客を沸かせた。

　転向して５戦。ボクシングの魅力について「ほかの格闘技と違って、伝統があって敷居が高くて京都みたい。歴史と伝統がある。そういうのが好き」と語る。この日も「最強で最高のスポーツ」とリングの上で絶叫した。試合数日前のニュース番組で「テレビつければ大谷翔平じゃないですか。皆さん、飽きちゃわないですかね？」と暗にボクシングも取り上げてほしいと訴え、炎上した。この日、大谷が活躍してドジャースも勝利し、「判定じゃ、（大谷超えは）無理ですね。でも、面白い試合はできた」と笑った。

　初のタイトル戦でベルトを奪取。国内で世界戦を行うための挑戦資格を得た。あくまで通過点のため、すぐに王座は返上する予定だ。いよいよ世界王座獲りが加速する。現在、バンタム級の世界主要４団体の王座は日本人が独占。この日は「天心選手とやりたい」とラブコールを送っていたＷＢＯ王者の武居由樹（２８）＝大橋＝がリングサイドで観戦。「勝ちましたよ武居くん」と笑った。

　「誰とやりたいかといったら全員。ベルトが欲しいんじゃなく、強い選手とやりたいので。拓真選手とかも」と１３日にＷＢＡ王座から陥落した井上拓真（２８）＝大橋＝との対戦にまで言及した。「あくまで来年中」と世界戦挑戦時期には慎重な姿勢を示した天心だが、存在感を増す「神童」が世界に向けて大きな一歩を踏み出した。（戸田　幸治）

　◆天心に聞く

　―ベルトを巻いた。

　「大事な顔に傷つけやがって、本当。これまで格闘技５０戦してきて、初めて顔に傷ついた。でもこうやって顔に血が出た中、勝つことができてうれしい」

　―この先は？

　「これ（地域タイトル獲得）が目的じゃないので、今後世界へ向けてまだまだ強くなるので。強くなってお互い高み目指して、日本を変えていきましょう。本当に格闘技は一番面白いと思うし、最高のスポーツ、皆さん格闘技を盛り上げて、皆さんボクシングを好きになってください」

　◆那須川　天心（なすかわ・てんしん）１９９８年８月１８日、千葉・松戸市生まれ。２６歳。５歳で極真空手を始める。２０１４年にキックボクシングでプロデビュー。１５年に史上最年少１６歳でＲＩＳＥバンタム級王座を獲得した。１６年からＲＩＺＩＮで総合格闘技に挑戦。４２戦無敗のキックからプロボクシングに転向し、２３年４月にデビュー。身長１６５センチの左ボクサーファイター。

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